姫路城は播磨国飾東郡姫路、現在の兵庫県の姫路市街の北側にある姫山および鷺山を中心に築かれた渦郭式平山城で、日本における近世城郭の代表的な遺構である。江戸時代以前に建設された天守が残る現存12天守の一つで、中堀以内のほとんどの城域が特別史跡に、現存建築物の内、大天守・小天守・渡櫓等8棟が国宝に、74棟の各種建造物(櫓・渡櫓27棟、門15棟、塀32棟)が重要文化財に、それぞれ指定されている。1993年(平成5年)12月には奈良の法隆寺とともに、日本で初のユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。この他、「国宝五城」や「三名城」、「三大平山城・三大連立式平山城」の一つにも数えられている。
16世紀後半に羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)によって基礎が築かれ、関ヶ原の戦い後、西国大名に対する備えとして池田輝政により現在の姿になった。1956年に始まった「昭和の大修理」を経て、往時の姿に最も近い状態に保たれた。現存する日本の城郭建築の最高傑作といわれ、平山城(ひらやまじろ)の典型で、天守をはじめ城郭の主要部分が完存している貴重な遺産である。五重7階の大天守と、東、西、乾(北西)の3つの小天守は渡櫓(わたりやぐら)で結ばれ、幾重にも連なる千鳥破風(はふ)や唐破風の屋根を頂く大天守と、白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)に仕上げられた外壁が、鮮やかな構成美をもっていることなど、芸術的な優美さと要塞としての機能性や保存状態が評価され、世界遺産に登録された。